道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

若い九州

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先週は出張で九州北部四県を廻ってきました。
18年ほど前にこの仕事をはじめてから、九州のものづくりに興味を持つようになり、訪問した回数は数知れず。

今回は二年ぶりの訪問です。
新しい窯元や工房を回ることはなかったのですが、有田や小石原で勝手知ったる工房を訪れると、見知らぬ人が絵付けをしたり轆轤を回したりしていました。あれ?と思ったら、それぞれ、息子さんが作陶を始めたとのこと。
ゆっくりと、でも確実に技が受け継がれてゆく様子が見て取れて、ひそやかな変化の兆しが感じられるうれしい旅になりました。

いつの間にかこの業界にいる時間だけは長くなってしまった僕だけれど、そういう技の継承を現在進行形で見るチャンスというのは本当に稀。そういう状況が出来するのって、何十年に一回だものね。
人間国宝クラスの技の継承であれば周囲から注目されるわけですが、こうやって地道に器を作る工房の継承は、緩やかな川の流れのように自然な形で行われてゆくもの。それは個人にとって特別なことであると同時に、社会にとってはありふれた日常の一部でもある。そういう、特別と日常の堆積が今という瞬間に繋がっているんだなあと思うと、なんとも感慨深いものがあります。
これから先、何十回九州を旅することになるかわからないけれど、自分の目を見開いて、そういう現場と静かなる日常をずっと見続けてゆきたいと思いました。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp