道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

福井再訪 2

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昨日の記事 の続き。

土本さん夫妻の作品というと、かわいらしい絵柄の象嵌作品が思い浮かびますが、夫・訓寛さんは、個人作家として焼締の器を制作。地元で掘られた土を成型し、穴窯で焼成する、というシンプルなスタイルでの作陶を続けています。 
福井県越前町で育まれてきた越前焼の原点は、まさに高温で焼き締める無釉の器であり、それはやきものの原初的な姿だと言っても過言ではありません。いっときは衰退もしたようですが、今こうやって古陶の流れを受け継ごうとする作り手がいるのは、心強いことではないでしょうか。
ただ、ここで大事なのは、やきものは時代とともに更新されていかないと、やがて過去の遺物になってしまうということ。その点、土本さんは、焼締という伝統的な技巧を使いながら、過去のコピーではない、自身の造形感覚をしっかりと作品に反映していて、とても素晴らしい作り手だと思います。
9月には、土本さんの手になる焼締器を展示する「naked」という企画展を予定していますので、そちらもおたのしみに。

画像は、作品を焼成する穴窯。以前の窯 を組み直してリニューアルしたようで、焼成の効率もよくなったとのこと。
どんな作品が出来上がるのか、とても楽しみです。


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