道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

福井再訪 2

昨日の記事 の続き。土本さん夫妻の作品というと、かわいらしい絵柄の象嵌作品が思い浮かびますが、夫・訓寛さんは、個人作家として焼締の器を制作。地元で掘られた土を成型し、穴窯で焼成する、というシンプルなスタイルでの作陶を続けています。 福井県越…

福井再訪 1

二年ぶりの北陸出張。新幹線の終着駅・金沢から在来線で南下し、旧知の九谷焼の作家・川合孝知さんの工房(石川県能美市)に立ち寄り、さらに次の目的地・福井県越前町へ。 ここ数年、とてもお世話になっている土本訓寛さん・久美子さん夫妻の工房を訪ねてき…

朝ごはん 4

このブログで幾度もしつこく告知してきましたが、この6月は、WEBマガジン「暮らしとおしゃれの編集室」(主婦と生活社)の中で「器店主の朝ごはん」というコラムを連載しておりました。毎週日曜、4回にわたって掲載されてきたコラムも、今日更新された分で最…

朝ごはん 3

現在、WEBマガジン「暮らしとおしゃれの編集室」(主婦と生活社)の中で連載しているコラム「器店主の朝ごはん」。本日、新しい記事が更新されました。全4回の予定で綴っているこちらのコラムも、既に3回目。 今回は、正確に言えば朝食には当たらないのかも…

朝ごはん 2

前回の記事でも書きましたが、現在、WEBマガジン「暮らしとおしゃれの編集室」(主婦と生活社)内のコンテンツ「器店主の朝ごはん」にて、全4回のコラムを連載しています。初回分は先週の日曜に掲載され、今日はその更新日。第二回目の原稿が新たに掲載され…

朝ごはん 1

このたび、WEBマガジン「暮らしとおしゃれの編集室」(主婦と生活社)内のコンテンツ「器店主の朝ごはん」の6月担当のオーサーとしてご指名いただき、現在、全4回のコラムを連載しています。(一回目のみ既に公開済み)これまで同人誌などで原稿を書いたり、…

若い九州

先週は出張で九州北部四県を廻ってきました。 18年ほど前にこの仕事をはじめてから、九州のものづくりに興味を持つようになり、訪問した回数は数知れず。今回は二年ぶりの訪問です。 新しい窯元や工房を回ることはなかったのですが、有田や小石原で勝手知っ…

菜の花とホタルイカ

年が明けてからの三か月はあっという間に過ぎてゆき、気が付けば新年度のはじまり。こわいくらい早い。 そんな中、3月は特に慌ただしくて、生活工藝を提案する器屋だというのに、食事を作る気力がなくなり、外食の日々が続いておりました。 「これじゃいかん…

象嵌の器

福井の作り手・土本訓寛さんについては、かなり前の記事 で紹介したことがありますが、現在開催中の展示「北陸ノ手工藝」のために再び作品を制作してもらっています。前回 は焼締作品をご紹介しましたが、今回展示しているのは、妻・久美子さんとの合作の『…

ケイゾク

店内では、ほぼ2週間ごとに企画展示を開催していますが、2週間なんて、本当にあっという間。近くにお住まいの方には毎回ご覧いただいているのですが、電車で来ていただくお客さまの場合、毎回欠かさずにご覧いただくのはなかなか難しいのではないかと思いま…

耐熱の器

いま開催中の企画展「あたたまる ―スープとココアのうつわ―」で並べている山下秀樹さんの直火パン。 この器、企画展の開催に合わせて新たに制作してもらいましたが、もともとは定番作品として扱っていたもので、僕自身、以前から家で愛用。鍋焼きうどんや湯…

一点一点

一般の方々にとって、うつわというカテゴリーの中で、一番ポピュラーなジャンルはやきものだと思われます。 でも、それ以外の素材のもの ―木製の漆器やガラス器やさらに金工も含みつつ構成されているのが、うつわの世界。それぞれの素材で加工方法も特性も違…

村上修一さんの漆の器

12/2からはじまった村上修一さんの漆器展「ヒビノウツワ」。 『ヒビノウツワ=日々の器』というタイトルの通り、衒いがなく、かしこまらない漆の器たちが届いています。気付けばかれこれ8年くらい、村上さんの作品に触れてきたことになりますが、その間、塗…

蓼の花の湯呑み

日本全国には、窯元が集中する伝統的な窯業地がたくさんあります。 いまは物流も情報も発達しているので、窯業地でなくても作陶ができるけれど、前近代においては、窯業地という『産地』ができることには必然性がありました。良い土が取れて、窯を築ける地形…

黄磁の皿

店でお付き合いのある作り手というと、どうしても僕と年齢の近い方が多くなってしまうのですが、それと同時に、より若い世代の作り手の方々とのお付き合いもとても大事だと思っています。 ここ2年ほどお付き合いさせてもらっている笠間在住の阿部慎太朗さん…

七月七日

荒海や 佐渡によこたふ 天の河実際に見た景色を描写したものかどうか定かではないらしいのですが、こちらは芭蕉の有名な句。 立秋を過ぎた旧暦の七夕の頃に詠まれたもので、本当は『秋の句』ということになるのですが、真夏である新暦の七夕(=今日)にも諳…

うつろい

3か月くらい前に開催した展覧会の時に、自分用に購入した鈴木稔さんのマグカップ。 朝夕問わず、コーヒーやお茶を飲むのに愛用している器です。 素地と釉薬とで焼成時の収縮率が違うため、見込み(内側)には『貫入』と呼ばれる陶器特有のヒビが出ています。…

桜色の器

桜も無事開花し、明日からは新年度。 お店では、4月から、新しい作り手・廣川温さんの作品を迎えることになりました。信楽で作陶していた廣川さんの作品には、2~3年前の陶器市ではじめて出会いました。すてきな空気をまとった作品だなあという印象を受けた…

風に吹かれて

昨日火曜日は店の定休日。 吹き荒ぶ寒風に煽られながら、伊勢原にある山下秀樹さんの工房を訪ねてきました。急な思い付きで。昔の養豚場を利用した山下陶房は、山岳信仰の山・大山を望む自然豊かな場所にあって、相変わらず良いたたずまいでした。 業務都合…

無国籍

細かいことを抜きにすれば、「日本国内の作り手による良き器と工藝を扱う」というのが、店の大まかな指針。 それを以って、「『和』の店」(もしくは「『和風』の店」)だと捉えられてしまうこともあるのだけれど、「日本国内で作っていること」と「『和』で…

白い土瓶と湯呑

器というのは日々使うもの。 器を選ぶ際に、シンプルであることを基準にする人は多いけれど、僕は、無駄をそぎ落とし過ぎることには疑問を持っています。禅僧のごとくミニマムに生きるのはある種の理想かもしれないけれど、人間なんて、そう一筋縄でいくもの…

窯元の器

長崎県波佐見町の利左衛門窯から、美しい青釉を掛けたしのぎの器たちが届きました。 ここのところ、個人作家の器を扱う割合が多かったので、窯元で作られたものがやって来るのは久々かも。そこで、今日は、窯元で作られる器についての所感をちょこっとだけ書…

てわざ

前回の記事では、長崎の作り手・小島鉄平さんの手になる愛らしいスリップウェアを紹介しました。あの記事を書いたあと、長崎を訪れた2年前の画像を見返していたら、小島さんの工房で撮った資料画像が数枚出てきました。板状にした土に泥漿(化粧土)を掛け、…

愛らしいスリップウェア

ここの数年の陶芸界の動きの中で、ヨーロッパ古陶磁の加飾技法を使った「スリップウェア」というジャンルの器が見直される方向にあります。 スリップという技法は、①表面に化粧土という泥漿を掛けてから引っ掻いて紋様を描き出したり、②スポイトに詰めた化粧…

晴れやかな九谷焼

年末ギリギリになってしまいましたが、昨日、九谷焼の川合孝知さんから作品が届きました。 富士山型のかわいらしい小鉢で、おめでたい絵柄が3種。「松と鶴」、「梅と鳥」、そして来年の干支が入った「桃と猿」です。 どれも繊細な筆致で描かれ、きれいな上絵…

会津絵の椀

日本全国津々浦々では古来さまざな工藝が育まれてきましたが、作られる工藝品には、その地域の『土地柄』というものが影響するものです。上の画像は、漆作家・村上修一さんが修復した会津の古い吸物椀。松竹梅や破魔矢や桧垣など吉祥紋様の漆絵がびっしりと…

益子のスープカップ

関東を代表するやきものの産地と言えば益子ですが、前の職場に勤めていた時代は、愛知以西の窯業地を廻っていたためにあまり縁がありませんでした。現在のように益子に重心を置くようになってからは8年くらい。やきものに携わって17年になる僕の職歴の中では…

印花

僕は、『三島手』という陶芸の加飾技法が好き。以前も、越前の作り手・土本訓寛さん夫妻の三島手の器を紹介したことがあったけれど、現在開催中の展示『Classical Life』では、もう一人の三島手の作り手・池田大介さんの作品も並べています。 土本さんの作品…

越前の薪窯

陶芸の産地に関する言葉で、小山富士夫という陶芸研究家が考案した『日本六古窯』という用語があります。これは、中世から現在に至るまで継続して窯業が盛んな六つの地域、備前・丹波・信楽・越前・瀬戸・常滑を指したものです。 その六古窯のうちのひとつ、…

土味

野趣あふれる焼締の五寸鉢。『焼締(やきしめ)』というのは釉薬を掛けずに高温で焼成された器(=炻器)のことで、土ならではのざらっとした触感が特徴。釉薬を掛けていない分、『すっぴんで勝負!』というような感じの潔さがあります。 こちらの器は、越前…

大根

愛媛県の砥部からはるばる届いた竹山窯の銘々皿。染付(呉須絵具による絵付け)ならではの『ダミ』という描画技法を使った、美しい青のグラデーションが特徴です。 絵付けの柄としては珍しいようにも思える大根ですが、実は、昔から縁起のよい紋様として知ら…

アールヌーボーのつぼみ

現在開催中の企画展『ワインとおつまみ』。窓辺には、鈴木努さんの手になるロマンティックなミニワイングラスが並んでいます。花のつぼみのような形の酒盃が欲しくて、鈴木さんには、昨夏の展示の折に長いステム(脚)を持つグラスを作ってもらいました。そ…

飛びかんな

8ヶ月待ちで届いた飛びかんなの取皿。『飛びかんな』というのは、民藝陶器として有名な小石原焼(福岡県東峰村)と小鹿田焼(大分県日田市)で多用される装飾技法の名前。 バネを効かせた『かんな』という刃物を器の表面に軽く当てて轆轤を回すと、あら不思…

ぽっこり ほっこり

庄司千晶さんの手になる作品。 『ぽっこりピッチャー』という名前が付いているところが、言い得て妙。ふとっちょの鳥のごとくユーモラスなたたずまいで、窓辺に置いておいたら、チュンチュンとさえずり出しそう。お酒を注ぐための片口として使ったり、カトラ…

染付 枯淡の美

現在新宿伊勢丹5階のキッチンダイニング・デコールにて開催中のイベント「iichi CRAFTS MARKET(8/5-24)」。僕は第2期(8/12-17)に続き、第3期(8/19-24)でもキュレーターとしてダイニングテーブルのコーディネートを担当しています。上の画像の吉田崇昭…

李朝の器の如く

5月に福井に行った際に、越前の里山で作陶をしている陶芸家の土本訓寛さん・久美子さん夫妻にお会いしてきました。越前焼らしい野趣あふれる焼き締めの器も制作しているのですが、僕の目を惹いたのが夫婦合作の『三島手』の器。三島というのは、生地の表面に…