道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

松山から

あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。さて。 新年二日目の今日、出勤してポストを開けてみると、ちょっと厚めの封筒が届いていました。愛媛でひとり地域調査隊として活動する今村さんからで、中には松山のタウン誌「松…

2016年、そして2017年

2016年の営業は昨日29日をもちまして終了いたしました。 一年間、ご愛顧いただいたみなさまに、心より御礼申し上げます。今年は、2月のアド街ック天国をはじめ、いろいろなメディアで紹介していただいたことで、新しいお客様と知り合える機会が増え、本当に…

福良雀

前田ビバリーさんの張子については、前回のブログで書きましたが、今日は、その記事の画像の中にあった張子、「福良雀(ふくらすずめ)」のお話をちょっとだけ補足的に。日本人が古来愛してきた吉祥の意匠はいろいろありますが、この福良雀もそのひとつ。『…

めでたい張子

「器屋」だと名乗りながらも、器とは関係のない郷土玩具や民藝玩具などに心奪われてしまっている今日この頃。 出張や旅行で地方に行くと、土地によってそれぞれ特色ある玩具があって、そういうものを見るのも旅の醍醐味だなあと思っています。 郷土玩具の中…

鶴と亀

鶴は千年、亀は万年。 どちらも古来、工藝のモチーフとしてたびたび用いられてきました。時代は下り、高度に文明化された現代においても、鶴と亀は長寿の象徴で、とてもおめでたいもの。 自身の人生の安寧や家族の健康を願う気持ちというのは、その根っこの…

村上修一さんの漆の器

12/2からはじまった村上修一さんの漆器展「ヒビノウツワ」。 『ヒビノウツワ=日々の器』というタイトルの通り、衒いがなく、かしこまらない漆の器たちが届いています。気付けばかれこれ8年くらい、村上さんの作品に触れてきたことになりますが、その間、塗…

酉の張子

使い勝手の良さから、最近はお店の情報発信をインスタグラムに頼ってしまい、オンラインショップやブログなどの更新が滞りがち。 もっとバランスよく、必要としてくださる方に向けて、伝えるべき情報を提供しないといけないなあ、と少々反省気味な店主です。…

袖摺坂

神楽坂周辺は起伏に富んでいて、とにかく坂の多いエリア。 急な坂、緩やかな坂、広い坂、狭い坂、長い坂、短い坂、いろいろな坂が点在しています。わが店がある矢来町全域は若狭酒井雅楽頭家の大名屋敷跡で、周囲より高い台地の上。 東西南北いずれからもは…

福島の刺子織

以前、やきものの生産形態の話について、『窯元の器』という記事で書いたことがありました。 やきものの生産形態については大まかに分けて、①工場生産品、②窯元(工房・職人)の品、③個人作家の品、の三種類があるという話をしましたが、この分類の仕方は、…

六度目の秋の日

前回の記事「静かな夏」で書いたように、静かに過ぎてゆくはずだったはずの今年の夏。ところが蓋を開けてみたら、想定外のにぎやかさで、8月と9月はあっという間に終わってしまい、時の流れに身を任せていたら、いつの間にか10月に。先月「神楽坂 暮らす。」…

静かな夏

数年ぶりに、静かな8月を迎えている矢来町。 というのも、今月1日からお隣の商業施設・ラカグが3週間にわたって改装期間に入り、昨日からは近くにあるプリンと焼菓子の有名店・ACHOさんが長期の夏季休業(8月末まで)に入っているから。 小さな店があちこち…

蓼の花の湯呑み

日本全国には、窯元が集中する伝統的な窯業地がたくさんあります。 いまは物流も情報も発達しているので、窯業地でなくても作陶ができるけれど、前近代においては、窯業地という『産地』ができることには必然性がありました。良い土が取れて、窯を築ける地形…

夏が来る

東海地方まで夏がやってきているというのに、東京の梅雨明けはまだ足踏み状態。 今日も朝から雨がしとしと降っているし、明日も午前中は雨の予報です。そんな状況でも、店の斜向かいの辻にある百日紅は、今年も少しずつ鮮やかなピンク色の花をつけ始めました…

黄磁の皿

店でお付き合いのある作り手というと、どうしても僕と年齢の近い方が多くなってしまうのですが、それと同時に、より若い世代の作り手の方々とのお付き合いもとても大事だと思っています。 ここ2年ほどお付き合いさせてもらっている笠間在住の阿部慎太朗さん…

七月七日

荒海や 佐渡によこたふ 天の河実際に見た景色を描写したものかどうか定かではないらしいのですが、こちらは芭蕉の有名な句。 立秋を過ぎた旧暦の七夕の頃に詠まれたもので、本当は『秋の句』ということになるのですが、真夏である新暦の七夕(=今日)にも諳…

草を食む

今回の奈良旅行では、春日大社の神の使いである鹿たちと戯れてきました。草を食んでいる鹿たちの様子を眺めながら、あまりのかわいさに、時が経つのも忘れてぼーっとしてしまいました。(そのおかげで行けなくなった場所もある) そののんびりとした暮らしぶ…

時のないホテル

この間の奈良旅行では、日本のクラシックホテルの代表格・奈良ホテルに宿泊。しがない器屋店主の身の丈には合っていないかなあとも思ったのですが、ネット上で調べてみたら意外とリーズナブルな部屋もあるようだったので、「えいっ」と思い切ってここに決め…

お守り犬

お土産と呼んでしまうと語弊があるけれど、先週訪れた奈良の法華寺で授与していただいた土人形『お守り犬』がかわいくて、グッとくる。法華寺は聖武天皇のお妃である光明皇后の発願による尼寺なので、ものすごく長い歴史を持っていることになります。 昨日の…

大仏さん

先週は、定休日を利用して、一泊二日で奈良に行ってきました。 いまはようやく撮り溜めた写真の整理を終え、思い出に浸っているところ。このブログでも、奈良の旅の話を断続的に書き残してゆこうと思っています。旅好きな僕ではありますが、奈良にはなんとな…

心の青空

四半世紀に渡る友人、画家のタチアキヒロさんのことは、昨夏のブログで紹介したことがあります。 『四半世紀に渡る』とは言っても、いつもべったり仲良しというわけではなく、つかずはなれず、それでも折に触れて互いの近況を知らせ合う間柄です。そんなタチ…

うつろい

3か月くらい前に開催した展覧会の時に、自分用に購入した鈴木稔さんのマグカップ。 朝夕問わず、コーヒーやお茶を飲むのに愛用している器です。 素地と釉薬とで焼成時の収縮率が違うため、見込み(内側)には『貫入』と呼ばれる陶器特有のヒビが出ています。…

緑の日々

僕は普段、大江戸線の牛込神楽坂駅から住宅街の小径を抜けて、店に出勤しています。 その途中、新潮社社長のお屋敷の長い土塀が木々の新緑とともに独特の風情を醸し出していて、林の中の小径のごとく、緑の陰が行き交う人の目と心を和ませてくれます。酸素が…

育ての地

熊本の最初の地震が起こってから、一週間あまり。 九州北部には、手仕事の販売に携わるようになってから頻繁に行くようになり、訪問回数はすでに30回くらい。僕は生まれも育ちも東京だけれど、仕事人生に大きな影響を与えたのは間違いなく九州という土地、及…

顔なじみ

神楽坂は猫の多い町で、うちの店のあたりも、数匹の猫が縄張りにしているもよう。 近付くと、ほとんどの猫が警戒心をあらわにしてさっと逃げてしまう中、一匹だけフレンドリーな感じの猫ちゃんがいるのですよ。黒と白のまだらで、毛並みもよい子。首輪をつけ…

桜色の器

桜も無事開花し、明日からは新年度。 お店では、4月から、新しい作り手・廣川温さんの作品を迎えることになりました。信楽で作陶していた廣川さんの作品には、2~3年前の陶器市ではじめて出会いました。すてきな空気をまとった作品だなあという印象を受けた…

近松とCHIKAMATSU

元禄期の浄瑠璃作者・近松門左衛門に触れる機会がなぜか多い今日この頃。1月からはNHK木曜時代劇枠で2か月に渡って「ちかえもん」という作品を放送。このドラマ、スランプに陥っていた近松が、実際に起こった徳兵衛・お初心中事件に巻き込まれ、それを元にし…

週休二日

百貨店に勤務していたせいか、これまで「小売業(いわゆる『店舗』)」が週に二日休むことには抵抗がありました。 それでずっと週一日の定休日を設定していたのですが、昨年後半からは実験的に隔週で週休二日に。そして新年度からは思い切って、完全に週休二…

杜の時間

歴史好きな僕は、神社巡りも好き。でもこれまで、訪れるのは近代以前に創建された神社に限る(建築は近代になってからのものでもいいのだけれど)という『自分ルール』を持っていました。 ところが、年初にNHKのBSプレミアムで放送していた「明治神宮 不思議…

竹を編む

もう三年くらい前になるけれど、三浦しをんさん原作の「舟を編む」という映画を見ました。 広辞苑的な国語辞書(作中では「大渡海」)の編纂に没頭する若手編集者が、持ち前の粘り強さでそれを完成させるまでの物語。膨大な時間と知識が注ぎ込まれる作業を静…

天に星 地に花

思えば、5年前の地震の日は、まだ代官山の木造アパートで店舗の営業をしていました。 本震とその後頻繁にやってくる余震におびえつつ、なんとか一日の営業を終えて家路につこうとするも、電車は運転見合わせ。仕方なく徒歩での帰宅を試みたけれど、大通りは…