道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

黄磁の皿

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店でお付き合いのある作り手というと、どうしても僕と年齢の近い方が多くなってしまうのですが、それと同時に、より若い世代の作り手の方々とのお付き合いもとても大事だと思っています。
ここ2年ほどお付き合いさせてもらっている笠間在住の阿部慎太朗さんは、うちの店ではいちばんの若手。研究熱心な方で、展示や納品があるたびに形状や釉薬に工夫を加えた新しいタイプの作品がやってきます。

現在開催中の企画展でも、阿部さんに新作を作ってもらっているのですが、その中で特に目を引いたのは黄磁のリム皿。西洋アンティークをモチーフにした従来のロマンティックな造形感覚を生かしつつ、うっすらと貫入が入るような釉薬を掛けることで、これまでよりも深みのある質感に仕上げられています。明るめのクリーム色だけれど、決して派手なわけではなく、謙虚な印象。「器は料理の着物」であることを考えると、とても使いやすい器だと思います。

こういう若手の方々の力に触発されながら、僕らの世代も日々、美意識を磨いてゆかなきゃね。
古くは「四十而不惑」などと言ったわけですが、まだまだこれからも戸惑いもがきながら、美しい手仕事の世界を描き出してゆきたいものです。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp
咖哩と麦酒と器と 7/15-28 http://www.room-j.jp/gallery/2016/06/715.php