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道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

福島の刺子織

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以前、やきものの生産形態の話について、『窯元の器』という記事で書いたことがありました。
やきものの生産形態については大まかに分けて、①工場生産品、②窯元(工房・職人)の品、③個人作家の品、の三種類があるという話をしましたが、この分類の仕方は、別のジャンルのモノづくりに当てはまる場合もあります。

いま、お店では福島の綿織物『刺子織(さしこおり)』を使った布小物の展示「tenp 福島の刺子織とともに」を開催していますが、この刺子織は、やきものの生産形態で言うところの②に当たるもの。
本来の刺子は、完成品としての布に手刺しで装飾(刺繍)を施してゆくものですが、刺子織は刺繍布ではなく、それ自体が完結したファブリック。平織りの布を織り上げて行く過程で糸を浮かせて刺子状の模様を表してゆくのです。
また、機械織ではあるけれど、すべての工程がオートマティックなわけではないところが大きな特徴。現在、刺子織を制作できる職人は大峽健市(おおはざま・けんいち)さんしかおらず、彼の熟練の技なくしては成り立たない織物だと言ってよいでしょう。

今回展示しているのは、クリエーター・福田利之さんのディレクションによる『十布(tenp)』というシリーズの小物たちで、福田さんが投げかけた現代的な感覚を、職人である大峽さんが民藝的な感覚でしっかり受け止めることで完成させたおもしろい仕事。
刺子織の柄は、90°という角度の糸同士の組み合わせによるデジタルなパターンですが、福田さんの大らかで緻密なイマジネーションが加わることで、有機的な印象のテキスタイルに仕上げられています。僕自身、初めて見たとき、日本的な風合いの綿布であるにもかかわらず、どこか遠い国のファブリックに触れたかのような不思議な感覚に囚われたものです。
展示「tenp 福島の刺子織とともに」では、画像のお手玉だけではなく、小さめの手提げやポーチ、がま口などが揃ってします。興味を持つ方が増えてくれたらいいな、と願っているところです。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp/
tenp 福島の刺子織とともに 10/1-14 http://www.room-j.jp/gallery/2016/09/101tenp.php

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