道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

花とこけし

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こけしと言えば、コレクターズアイテムといおうか、マニアックな代物といおうか、工藝の中でもちょっと特殊なポジションのもの。
奥深い世界なので、これまでは手を出すまいと思ってきたのですが、2017年しょっぱなの企画展において、とうとう手を出してしまいました。

地域によっていろいろと特性があると言うこけしですが、現在開催している展示「あたたかな東北のちいさな手仕事」の中で紹介しているのは、宮城の遠刈田(とおがった)と弥治郎(やじろう)の工人の作品です。
画像のものは、遠刈田の工人・小笠原義雄さん(伝統工芸士)とイラストレーター・佐藤純子さんとのコラボレーションによる『花こよみ』というシリーズ。東北の一年を代表する草花をひと月ずつ描き出したかわいらしいこけしで、伝統的な美意識と現代的な美意識が違和感なく交わり合っていて、とても気に入ってしまいました。
最近見かける工藝系のコラボレーション商品って、ベクトルが『すっきりジャパニーズモダン系』(もしくは『京都はんなり系』)に向いていることが多いけれど、このこけしたちは、土俗的な伝統を極力そのままにしながらも程良く新しい感性が注入されているところがなかなかのものだと思います。

ディープなこけしコレクターの人には物足りないかもしれないけれど、スタンダードの薫りが漂う素朴でよき手仕事ではないでしょうか。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp
あたたかな東北のちいさな手仕事 http://www.room-j.jp/gallery/2016/12/112-1.php