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道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

ヘンクツ

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ここ数年は店舗を取材していただく機会が増え、今月は、東京や世界の素敵ショップを紹介している超おしゃれーなWEBマガジン「The World Elements」で店舗を紹介してもらいました。

この取材自体、とてもありがたいことだったのですが、いま考えると、わざわざ足を運んでくれたエディター・Nさんを随分と手こずらせてしまったよなあ、とちょっと反省気味。
というのも、記事内容が、おそらくNさんが当初予定していたであろう企画とはまったく別モノになってしまったからです。

Nさんが質問したかったことは、「よい器の条件とは何ですか?」。
本当はインタビュアーの誘導する方向に従って、万人受けしそうな答え(サービス回答)をするべきだったのかもしれないけれど、なんだか嘘がつけなくて、Nさんに申し訳ない気持ちはありつつも、結果として禅問答のようなインタビューになってしまいました。ごめんなさい。
「The World Elements」サイト内の記事『まじめすぎる、うつわ店/神楽坂 暮らす。/POP UP! TOKYO』を読み込むと、そんなぎこちなさをうっすらおかしく感じていただけることと思います。

早いもので、この世界に入ってから18年位になるけれど、実を言うと、震災以降に出来した『ピクニック消費(イベントで盛り上がって物を売買するやり方)』とか、それに伴う『手仕事バブル(作家ブーム)』にはいまだに馴染めていない僕。
ま、要するに古いタイプの人間だということなんですけどね。今回のインタビューではそのあたりについて正直な気持ちを吐露してしまったので、人からは「ヘンクツ」だと思われちゃうんじゃないかなあ、というのが目下心配しているところ。ハイタッチしながらみんなで楽しく盛り上がっているところに水を差す奴、みたいな感じで。
でもね、前回の『手仕事バブル』(20年前)の熱気がまだ残っていた時期にこの業界に入って、その後の経過をいろいろ見てきているから、ブーム的な現状にそうそう浮かれるわけにはいかないのですよ。
もちろんこのまま良い方向で、手仕事がいろいろな人の生活の中に馴染んでいってくれればいいと願っているけれど、『ブーム』というのは、その時代の空気を反映したもの。やって来ては去ってゆくのが常なのではないでしょうか。
個人的には、この先の舵取りが難しいような気もしていて、慢心せずにきちんと気を引き締めなきゃいかんなあ、という感じ。『作家』とか『民藝』とかのキーワードだけに縛られることなく、長ーく愛されるいいもの(いわゆる『スタンダード』っていうやつね)をこの眼と手でしっかりと選び取ってゆきたいなあと思います。
言い方は良くないかもしれないけれど、20年前にブームを生んだ方たちの轍は踏みたくないし。

ものわかりのよい人間ばかりになってしまったら、この世はみんな同じ空気に支配されてしまうことになるでしょう?
水を差すヘンクツ店主がいるくらいの方が、活力&多様性のある面白い業界になるんじゃないか、なあんて勝手に思っているところです。健全な批判精神っていうやつかな。
もちろん、この業界がこれから長く存続してゆくために、できる限り力を尽くすつもりでおりますよ。それは利己でもあり、利他でもあり。しっかりと、ゆっくりと。

以上、年度末に際してのちょっとまじめな思考。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp
The World Elements https://theworldelements.com/set/detail/GGkpmJk/MFhTQ5c

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