道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

飛びかんな

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8ヶ月待ちで届いた飛びかんなの取皿。

『飛びかんな』というのは、民藝陶器として有名な小石原焼(福岡県東峰村)と小鹿田焼大分県日田市)で多用される装飾技法の名前。
バネを効かせた『かんな』という刃物を器の表面に軽く当てて轆轤を回すと、あら不思議。バネの反発力で『かんな』が細かく飛び跳ね、それによって削られた部分には、あっと言う間に渦巻き状の細かな点紋が現れるのです。
マジックのように不思議で面白い手わざなので、興味がある方は、YouTubeにUPされている作業工程の動画をご覧になってみてくださいね。
この『飛びかんな』、至ってシンプルな工程の装飾技法なのですが、シンプルなだけに作り手のクセがけっこう出るものなんですよね。窯元ごとに見比べてみると、『好きな飛びかんな』と『好きじゃない飛びかんな』がある。僕の場合は小鹿田流より小石原流が好みで、その中でも特に鬼丸豊喜窯と鶴見窯元の飛びかんなが好き。鬼丸さんは素朴でありながらも精緻な装飾、鶴見さんは若々しく躍動感のある装飾が持ち味です。
今回届いた器は、鬼丸豊喜窯から。作り手としての円熟味を感じさせる美しい仕上がりで大満足。待った甲斐がありました。


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