道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

アールヌーボーのつぼみ

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現在開催中の企画展『ワインとおつまみ』。窓辺には、鈴木努さんの手になるロマンティックなミニワイングラスが並んでいます。

花のつぼみのような形の酒盃が欲しくて、鈴木さんには、昨夏の展示の折に長いステム(脚)を持つグラスを作ってもらいました。そして、今年作ってもらった新バージョンが、画像の作品。
盃の部分は昨年と同じつぼみ型を踏襲しているけれど、今回はステムを短めに。アールヌーボー的な曲線美がそこはかとなく感じられてとても気に入っています。
また、見た目の美しさもさることながら、実用面で見ても利点が多い。丸みを帯びているので手にしっくりなじむし、縁を反らしているので呑みやすいし、ステムが短いので安定感があるし。ミニワイングラスと云う名前になってはいるけれど、冷酒盃として使いたくなる器ですね。
もともと僕は、花を象ったり植物を絵付けしている器が大好き。かつてのアールヌーボー様式の工藝はさすがにデコラティブ過ぎるけれど、そういう美意識(及び方向性)を時代に即して活かしてみたい。現代の食卓に文字通り『花を添えて』くれる器をディレクションしてゆきたいなあ、と密かに目論んでいるのです。
アールヌーボー・ヌーボー』という感じでしょうか。


追記

アールヌーボー(Art Nouveau)』は19世紀末から20世紀初頭にかけて流行した美術潮流で、フランス語で『新しい芸術』という意味。植物や鳥や昆虫などのモチーフや曲線を多用した工藝・建築物が作られました。
アールヌーボー・ヌーボー』というのは、『新しいアールヌーボー』というイメージの僕の勝手な造語です。あしからず。


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