道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

大根

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愛媛県の砥部からはるばる届いた竹山窯の銘々皿。染付(呉須絵具による絵付け)ならではの『ダミ』という描画技法を使った、美しい青のグラデーションが特徴です。
絵付けの柄としては珍しいようにも思える大根ですが、実は、昔から縁起のよい紋様として知られています。たとえば、ご利益が大きいと評判の古刹・浅草の待乳山聖天は、寺の紋が大根だし、ご本尊様へのお供えも大根。古来、夫婦和合や子孫繁栄を象徴するおめでたいモチーフとして使われてきたのが大根なのです。
この器、これまでの僕だったら見過ごしていたかもしれないけれど、今回こうやって出会うことができたのは、愛媛県内で『ひとり地域調査隊』として活動する今村香織さんのおかげ。自分の目だけを過信せずに、自分以外の人の目の力に委ねてみる、ということも時には必要なのかな、と思いました。
都会的な洗練とは趣を異にしていますが、肉感的な大根の絵は、人の心を惹きつけてやまない『何か』を持っています。多くの人々から長いこと愛され続けてきた『力』、土俗的な『強さ』が感じられる逸品です。グッとくるね。


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