道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

白い土瓶と湯呑

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器というのは日々使うもの。
器を選ぶ際に、シンプルであることを基準にする人は多いけれど、僕は、無駄をそぎ落とし過ぎることには疑問を持っています。禅僧のごとくミニマムに生きるのはある種の理想かもしれないけれど、人間なんて、そう一筋縄でいくものではないですからね。殊に、僕のような雑念の塊のような人間は、どこかに『雑味』のようなものが含まれていないと物足りない感じがしてしまうわけです。
今週、笠間の作り手・桑原哲夫さんの作品が届きました。土ものとしては比較的シンプルな加飾技法・粉引による白い土瓶三種と湯呑一種。荷を解きながら、カウンターに並べていると、同じ形の作品であっても、白一色であっても、一点一点に『個性』というか『クセ』のようなものが見て取れて、面白いものだなあと改めて思いました。シンプルであることには違いないけれど、その形や質感には、手仕事ならではの雑味=あたたかみがちゃんと宿っている。日々使うものには、こういう、心の凝りをほぐしてゆくような人間的なエッセンスが必要なのではないかと思います。

土瓶と湯呑は、昨晩、神楽坂の店頭に並べました。オンラインショップでの販売予定のない作品ですので、店舗で実際に手に取ってご覧いただけたら、と思います。
控え目ながら、お茶の時間にやさしく寄り添ってくれる器たちですよ。


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