道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

週休二日

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百貨店に勤務していたせいか、これまで「小売業(いわゆる『店舗』)」が週に二日休むことには抵抗がありました。
それでずっと週一日の定休日を設定していたのですが、昨年後半からは実験的に隔週で週休二日に。そして新年度からは思い切って、完全に週休二日にしてみることにしました。

以下、それにあたって考えたこと。

店を始めた頃はまだ30代で、気力体力が充実していたのですが、気づけばもう40代後半。いわゆるアラフィフっていうやつで、少しずつ気力体力が落ちてゆくのを実感します。加速度的に日々の流れが速くなり、日々のルーティンをこなしていたら、あっという間に一日が終わっていることもしばしば。
現在、お客様も少しずつ増えてきていて、お店としてはとても順調でありがたいことなのだけれど、この、日々追われているような状態をそのまま続けていくのがよいことなのかどうか、昨年くらいから疑問を持つようになっていました。

そこで考えたのが、週休二日にしてみること。自営業者としての本音を言えば、「お店を開けていないと不安」という部分はあるけれど、ここはあえて思考と行動の自由度を増やす方向で。頭を休める時間を作ったり、外部と接する時間を増やしたりすることは、僕自身の感性に滋養を与える効果があるような気がします。その方が長い目でみた場合には、お店の成長につながり、お客様にさらによいものを還元できるように思えるのです。
それと並んで、年頭の記事でも書いたように、近頃は、お店を細く長く続けてゆくにはどうしたらよいか(いわゆる「sustainable」ってやつね)について考え始めているところ。
ここ数年、同業者の先輩にあたる方々が相次いで鬼籍に入っているのですが、僕も50の大台が視野に入ってきたので、体と心に対する負荷はなるべく減らそうと考えるようになりました。まだまだやりたい仕事がたくさんあるし、それをさらに続けていけば、老いて熟したときに達する境地というのもあるだろうし。
それで、体をもう少しいたわってあげてもいいんじゃないかという結論に達したわけです。

僕の店は小さな「町の器屋」ですからね。大きな母数を基にしたマーケティングはあまり関係なく、営業時間や営業日数の多少による「集客数」の増減がそのまま店の存立に直結することはあまりないようにも思えます。
「集客数」よりもっと大事なのは、ゆっくりと品物を吟味してもらえる空間を作り、その上で手仕事の背景についてお話をしたり、ときには世間話をしたり、そんなゆるやかな感じでお客様と接してゆける状態を維持してゆくこと。ひとりでやっている以上、いっぺんにたくさんのお客様の応対はできないわけだし、自分の身の丈に合ったスタイルを見つける時期が来たのかなあ、などと感じています。
せっかくご縁あって、神楽坂上という場所に店を構えているのだから、街の空気とともに生きてゆきたいという気持ちもあります。古くから文化を宿すこの街にふさわしく、自分ならではの美意識やこれまで培ってきた知識などを、ゆったりと、あたたかく、かつスマートに伝えてゆけたら、と考えています。

以上、4月から週休二日にすることの理由(=ながーい言い訳)でした。

これから月曜と火曜は店舗連休とさせていただきます。
みなさまにはご不便をおかけしますが、どうぞご来店の際にはお間違えのないようにお願いいたします。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp