道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

育ての地

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熊本の最初の地震が起こってから、一週間あまり。
九州北部には、手仕事の販売に携わるようになってから頻繁に行くようになり、訪問回数はすでに30回くらい。僕は生まれも育ちも東京だけれど、仕事人生に大きな影響を与えたのは間違いなく九州という土地、及びそこに住む人々だと思っています。だから、TVで惨い大地の傷跡を見たり、難儀する人々の様子を目にするたびに、他人事とは思えなくて心が軋むのです。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、避難されているみなさんに一日も早く平穏な日々が戻るよう心より願っております。

今回の地震は、震源が移動しているところが大きな特徴で、大分の由布や別府でも強い揺れが観測されました。
別府には竹細工の作り手・伊藤憲男さんと松田浩樹さんがお住まいです。先だってお二人にお見舞いの電話を差し上げたところ、余震は続いているものの、ほぼ元の生活に戻ってきているとのことでした。安堵しました。
されど現状は厳しく、熊本の震源周辺では支援がまだまだ必要とされる状況。東京にいる僕が、九州という「育ての地」に対してどんな恩返しができるか、しっかりと考えてゆかなければいけないと思っています。

火曜日には銀座にある熊本のアンテナショップに行ってきましたが、同じことを考えている人がたくさん来ていて、熊本の豊かな恵みを手にすることで、被災地に心を寄せていました。
人にはそれぞれ「分(ぶん)」というものがあります。「分」というのは与えられた役割のようなものでもあり、「分」に応じて、各々ができることをこなしてゆくことで社会は完結してゆくんだと思うんですよね。たしかにアンテナショップで買物をしても緊急性の高い支援には結びつかないかもしれないけれど、それでも経済を止めることなく被災地にいくばくかの金額が還流されれば、それはそれでよいのではないでしょうか。
          
余震もこれから徐々に収束してゆくことと思いますが、復興に向けたほんとうの戦いはこれから。僕も、自分の「分」というものをわきまえながら、長期的な復興に向けて何ができるのかをよく考えたいと思います。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp