道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

草を食む

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今回の奈良旅行では、春日大社の神の使いである鹿たちと戯れてきました。

草を食んでいる鹿たちの様子を眺めながら、あまりのかわいさに、時が経つのも忘れてぼーっとしてしまいました。(そのおかげで行けなくなった場所もある)
そののんびりとした暮らしぶりを見ていたら、他人事と思えないというか、なんというか。
主張せず、目立たぬように、ただそこにある草を食んで生きている彼ら。たまには鹿せんべいをしつこくおねだりすることもあるけれど、そんな平和な生き方にはあこがれてしまいますね。

最近、東京は器屋が百花繚乱状態(というよりは『百家争鳴』)。
業界自体がにわかに活性化しているため、うちの店もその恩恵に預っていることは紛れもない事実。それがありがたい状況だとは重々理解しつつも、でもどこかに、そういう今風の業界の一部にはなりたくない自分もいるんですよね。余計な雑音に捉われず、ただ静かに淡々とお店をやってゆけたらいいなあという想いがあるのも確かなのです。流行りなどとは無縁にね。
鹿のように気負いもなく、過不足なく、草を食みながら、生きるように、器を売ってゆきたいなあ、と思う今日この頃。
鹿よ、悠久の時の中で生きているお前たちがうらやましいよ。


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