道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

袖摺坂

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神楽坂周辺は起伏に富んでいて、とにかく坂の多いエリア。
急な坂、緩やかな坂、広い坂、狭い坂、長い坂、短い坂、いろいろな坂が点在しています。

わが店がある矢来町全域は若狭酒井雅楽頭家の大名屋敷跡で、周囲より高い台地の上。
東西南北いずれからもは坂を上らなくてはたどり着けない場所で、低い場所を通る大久保通り(南側)から矢来町に至る箇所にも急な崖線があり、そこには狭い階段状の坂が通されています。
文政年間に取りまとめられた資料『御府内備考』にも記されているというこの階段には『袖摺坂』という名前が付けられていて、片側が崖で、もう片方は板塀。今でも狭いけれど、昔の人も袖が触れ合うようにして行き交ったという話です。

灯台下暗し」とはよく言ったもので、東京で生まれ育ったにもかかわらず、まだこの街には知られざる名所がいっぱい。これからは、坂のある地形を作り出した大いなる大地の力やそこに生きてきた人びとの息遣いを感じながら、街を歩きたいものだと思います。
敬愛するタモリさんの坂に対する偏愛を見習って、東京の街で坂歩きを楽しんでみるのも良いかもしれませんね。



神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp