道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

一点一点

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一般の方々にとって、うつわというカテゴリーの中で、一番ポピュラーなジャンルはやきものだと思われます。
でも、それ以外の素材のもの ―木製の漆器やガラス器やさらに金工も含みつつ構成されているのが、うつわの世界。それぞれの素材で加工方法も特性も違うし、出来上がりの風合いも違う。そんな多様性を楽しむことこそがうつわ使いの醍醐味なのかもしれません。

新年早々、久しぶりに山形の金工作家・下山普行さんから小さな錫のうつわが届きました。
「あたたかな東北のちいさな手仕事」という展示のための作品。タイトルの通り、小さな作品ばかりを集めた展示なので、今回届いたのは、小皿・豆皿・箸置と言ったてのひらに乗るサイズのものばかりです。
「鍛金」という技法で一点一点作られていて、小さな作品ではあるけれど、大きな作品と同様にしっかりと手が掛けられています。鍛金技法では金槌と鏨を使って板金を叩いて成型してゆくので、その過程で「鎚目」と呼ばれる細かいへこみがたくさんできますが、下山さんの作品はその鎚目をデザインとして活かしているところがミソ。金工のシャープさはそのままに、でも、どこかあたたかな雰囲気を持つかわいらしいうつわたちです。
「うつわ好き」を名乗る方々は、イコール「やきもの好き」であることが多いわけですが、素材が異なるうつわ同士をさらっとコーディネートできる人って、上級者だなあという印象を受けます。多彩多様な食卓は、人の五感を刺激してくれるものではないでしょうか。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp 
あたたかな東北のちいさな手仕事 1/12-2/2 http://www.room-j.jp/gallery/2016/12/112-1.php