道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

福井再訪 1

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二年ぶりの北陸出張。

新幹線の終着駅・金沢から在来線で南下し、旧知の九谷焼の作家・川合孝知さんの工房(石川県能美市)に立ち寄り、さらに次の目的地・福井県越前町へ。
ここ数年、とてもお世話になっている土本訓寛さん・久美子さん夫妻の工房を訪ねてきました。
建物の内外の至るところに、越前ならではの野趣あふれる焼締の器が無造作に置かれているので、土本さんに失礼かとは思いつつ、時間が経つのも忘れてひとつひとつの作品を手に取って長居してしまいました。

中世から続く窯業地・日本六古窯のひとつに数えられる越前焼の里はとても長閑で、独特の時間が流れています。古くから人が生活を営んだ場所にはたぶん、その営みの残像のようなものが蓄積してゆくのでしょう。そんな湿り気を孕む空気に包まれていると、乾いた都会では思いつかなかったアイデアがいろいろと浮かんできて、心躍ります。
我々の業界の場合、出張というのは、そこに足を運ぶことで目的の半分は達成された、と言っても過言ではないと思います。僕にとっても、それはフィールドワークとして大事にしていること。考古学者が土を掘ることで探究心を満たそうとするのと理屈は同じなのかもしれません。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp