道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

土味

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野趣あふれる焼締の五寸鉢。

『焼締(やきしめ)』というのは釉薬を掛けずに高温で焼成された器(=炻器)のことで、土ならではのざらっとした触感が特徴。釉薬を掛けていない分、『すっぴんで勝負!』というような感じの潔さがあります。
こちらの器は、越前(福井県)の作り手・土本訓寛さんの手になるもので、昔ながらの薪窯焼成。オートメーション化した最新の陶芸窯で焼くのとは異なり、窯を開けるまで仕上がりが予期できないのが薪窯。焼き上がってきた作品を何点か並べて見比べてみると、表情が一点一点まったく違っています。やきものというのが本来、『偶然性』という変数を孕んだ工藝なのだ、ということを実感しますね。
これもアナログであるがゆえの醍醐味。使う側の人間も、衒いのない心根で接してみたくなるような素朴な器です。


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