道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の日の

夏の強い日差しも過去のものになり、どこか愁いを含んだような西日が、店の奥まで伸びてくる季節になりました。思い起こせば、この夏は伊勢丹での展示をはじめとした諸々の業務のためにこまねずみのごとく動き回っていて、まさに『心を亡くす』ような状況で…

百日紅

店の斜向かいの十字路には百日紅(さるすべり)の木が植えられています。 梅雨明け頃から咲きはじめ、道行く人の目を長いこと楽しませてくれていたのですが、お彼岸を迎えて、さすがにそろそろ散り際。夏の間は、お客様からの電話で店の場所についての問い合…

アールヌーボーのつぼみ

現在開催中の企画展『ワインとおつまみ』。窓辺には、鈴木努さんの手になるロマンティックなミニワイングラスが並んでいます。花のつぼみのような形の酒盃が欲しくて、鈴木さんには、昨夏の展示の折に長いステム(脚)を持つグラスを作ってもらいました。そ…

だるまの土鈴

前回は深大寺にお詣りした話を書いたけれど、今回はそのおまけ。僕は出張などで地方を旅すると、張子とか藁人形とか鳩笛とか、手のひらサイズの郷土玩具をお土産として購入する癖があります。コレクターというほどじゃないけれど。 一昨日参詣した深大寺はだ…

御朱印帳

今年の秋はお彼岸の間に休みが取れないので、お墓参りの予定を前倒し。昨日、ご先祖が眠る多磨霊園に行ってきました。 そして、その帰りにはちょいと足を延ばし、バスに揺られて深大寺まで。こちらには小学校の遠足(神代植物公園と深大寺のセット)で行った…

飛びかんな

8ヶ月待ちで届いた飛びかんなの取皿。『飛びかんな』というのは、民藝陶器として有名な小石原焼(福岡県東峰村)と小鹿田焼(大分県日田市)で多用される装飾技法の名前。 バネを効かせた『かんな』という刃物を器の表面に軽く当てて轆轤を回すと、あら不思…

ちゃんぽんの味

前回の記事に引き続き、2013年の旅の画像を整理していたら出てきた一枚。長崎県波佐見町で撮ったものです。 十数年前、堀江陶器の堀江さんとともに窯元廻りを始めた時に連れて行ってもらった有田屋という食堂で出会ったのが、このちゃんぽんでした。 廃校に…

工人どもが夢の跡

僕が『物作り』の世界(いわゆる工藝)にハマってしまったのは、15年ほど前のこと。長崎県波佐見町の最も古い窯業地区である中尾山のやきもの作りに触れたことがその一因です。それ以来、毎年一回は九州出張に行くけれど、自分自身の仕事の原点である中尾山…

彦山 2013年初夏

年を取ったせいか、最近はわいわいうるさい地上波のTV番組を見ることがめっきり減り、BSの番組を見る時間が増えました。この間もザッピングしていたら、BS朝日の『鉄道・絶景の旅』の再放送にたどりつき、見たことがある風景が出てきたので、懐かしくなって…

童心に帰る

絵本の形をした土井朋子さんのオブジェ。 さまざまな技法を駆使したガラス作品で、ブレーメンの音楽隊のワンシーンを象ったものです。土井さんの手仕事は間違いなく『乙女心』をくすぐるけれど、女性だけではなく、僕のようにいい年をしたオジサンの『親爺心…