道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

顔なじみ

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神楽坂は猫の多い町で、うちの店のあたりも、数匹の猫が縄張りにしているもよう。
近付くと、ほとんどの猫が警戒心をあらわにしてさっと逃げてしまう中、一匹だけフレンドリーな感じの猫ちゃんがいるのですよ。黒と白のまだらで、毛並みもよい子。首輪をつけていないから、飼い猫ではないと思うのだけれど。

夕暮れ時にはうちの店が入居しているマンションのエントランスにたたずんでいたり、雨の日には靴拭きマットの上の定位置で雨宿りしているところを、よく見かけます。
昨日はたまたま郵便を取りに行ったら、折しもマットの上でくつろいでいるところ。目が合ったら、ちょっと距離を置きながら、僕のあとについて店の中に入ってきて、マグカップなどを物色しておりました。『物色』とは言っても、とても行儀よく。店の入り口のあたりの器を吟味するかのように優雅に見回して、ゆったりとした歩調で帰ってゆきました。どこか上品で、とても人間っぽい感じ。
本当は食べ物などをあげて、もうちょっとお近付きになってみたいけれど、マンションのほかの住人の方々の迷惑になってしまうので、我慢しております。

ひとりで店をやっていると、あまり人と会話をせずに過ごしてしまう日もあります。そんな日の夕方にあの子と顔を合わせると、なんだかその日一日が心豊かに終えられそうな気がするのです。


神楽坂 暮らす。 オフィシャルページ http://www.room-j.jp