道草雑記帖

「神楽坂 暮らす。」店主の備忘録/日々のこと/器のこと

福井再訪 3

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昨日の記事 では、福井の作り手・土本訓寛さんが制作する焼締の器の話をしましたが、今日は、象嵌の器について。訓寛さんが成型を担当し、そのあと久美子さんが加飾して完成する器たちの話です。
ずっと前の記事 で、ふたりで作る象嵌の徳利とぐい呑みの画像を紹介していますので、そちらもあわせてご参照ください。

無釉の焼締には、越前の伝統を感じさせる原初的な力が宿っていますが、象嵌(三島手)には、大陸から渡ってきた技巧の妙とエキゾチックな魅力を感じることができます。
前回の訪問では、その作業を拝見することはできませんでしたが、今回はちょうどタイミングよく見学させてもらうことができました。
素地に紋様を彫り、そこに別の土を嵌め、さらに表面の不要な土を削り落としてゆくことで、装飾が完成します。テキストではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、極度の集中力を必要とする作業で、見ているこちらも息を止めてしまう感じ。
使い手に器を手渡してゆくことを生業としている僕にとって、そういった工程の「動」の部分にアクセスするのは大事なこと。今回の出張では、また一歩、そこに近づくことができたような気がしています。


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